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■一度決めたことは変えたくない「一貫性の法則」@ 一度決めたことは変えたくない「一貫性の法則」 人は「自分で決めたこと」に対して矛盾した行動は取りたがりません。「自分で決めたんでしょ」と言って、巧みに操ることができる。 ★ 言動や行動をブレないようにしたがるのが人の心理 人は誰しも「ブレない人間でありたい」という心理を常に持っているものです。「自分の言動や行動を筋道が通るようにしたい」と思うため、「あの人は言っていることとやっていることがまるで違う」とか、「以前言っていたことと逆のことを言っている」などと思われたら、普通の人は恥ずかしいと感じるでしょう。 この心理を社会心理学者・チャルディーニは「一貫性の法則」だと説きました。言うこととやることがブレまくっていたら、人としての信用にかかわるので、そうならないように意識している人が多いはずです。言動に一貫性を持たせること自体は悪いことではありませんが、実はこの一貫性の法則を逆手にとって人を誘導することも可能なのです。 ★ 詐欺犯罪や悪徳商法などに悪用されることもある たとえば、あなたがある商品の購入を決めたとします。ところが、いざ買おうとしたら、店員に「お客様。申しわけありません。こちらは在庫切れで再入荷が未定となっております。 ですが、同ブランドのこの商品でしたらすぐにご用意できます」といわれました。この場合、買おうとした商品より少し高価であっても、多くの人は一度買うと決めたために、高い商品でも買ってしまうことが多いのです。このようなケースで、飼うのをやめるという決断をしにくいのも、一貫性の法則による心理なのです。 この心理は、詐欺や悪徳商法などに使われることもあります。たとえば、最初に異常に安い値段を提示して買う気にさせた後、「この値段で売るには条件があります」などと高額なオプションをつけ、結果的に不当に高いものを売りつけてしまうという手口です。一度買うことを決めてしまうと、「それは高いな」と思っても断りにくくなってしまう心理につけ込んでいるのです。 ★ 誘導するにはハードルをいきなり上げないことが重要 この法則を活用すれば、「一度決めた態度を崩したくない」という心理に相手を追い込み、こちらの都合のいいように誘導することが可能になります。たとえば、「悪いけど、1000円貸してくれない?」と頼まれ、いったん応じたら、「あ、ごめん。やっぱり3000円借りてもいいかな?」と金額を上げられても、たいていの人は「それならダメ」とは言いにくいものです。 途中から、「話が変わってきたな」と気づいたとしても、「さっき、いいち言ったじゃないか」と言われたら、「やっぱりやめる」とは言うのは勇気を必要とします。ただし、この法則を使うときにいきなり頼みごとのハードルを上げすぎてしまうと、さすがに相手は断りやすくなるので、そのさじ加減がポイントになります。 とにかく、「他人から強制させたことには反抗しやすいが、自分で決めたことに対しては、なかなか矛盾した行動が取れない」のが一貫性の法則。これを巧みについて「あなたが自分で決めたことですよ」と強調すれば、うまく誘導できるでしょう。 A スタンスを変える勇気が「一貫性の法則」に勝つ 自分の身を守るためには、途中でスタンスを変える勇気を持つことが大切で、話が怪しくなってきたら、一貫性を放棄することを宣言しよう。 ★ カルト教団や悪徳セミナーのワナには要注意 人を操る心理テクニックを知ることは、「他人に操られることを防ぐ」効果もあります。このテクニック派、詐欺師などが悪用することもあるので、他人に操られることがないように常にケアしておくことは自分の身を守るためにも重要です。 たとえば、「一貫性の法則」は、カルト教団や怪しげな自己啓発セミナーでも多用されました。悪徳団体は、言葉巧みに被害者から多額の財産を吸い取りますが、常套句として「あなたが自分で選んだ道です」と強調します。 被害者は「自分で選んでしまった」と思い込まされているので、その事実に追い詰められるのですが、途中で「おかしい」と気づいた時点で、そこから抜け出すことは可能なはずです。 しかも、ある程度の財産を吸い取られていると、「コンコルド効果」も作用し、「今やめても損をするだけだ」と思ってしまうので、一貫性の法則から逃れるのがより難しくなります。 ここで大切なのは、スタンスを変える勇気を出すことです。「フット・イン・ザ・ドア」と連動した悪徳商法もあり、手軽な値段だからと購入を決めてから、高額なオプション契約が必要などと称して、結果的に大金をむしりとるのです。この場合も、一貫性を放棄し「だったらやめます」と言い切ってしまいましょう。
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