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■高等誘導術「誤前提暗示」と「系列位置効果」不意打ちで混乱させてから、「誤前提暗示」で誘導し、誘導したいほうを後出しにして、「系列位置効果(新近効果)」を狙うというものです。 ★ 不意打ちとのミックスで効果が倍増する誤前提暗示 非常に単純な戦術なのですが、相手につい「YES」と言わせるのに効果的なのが「不意打ち」です。終業間際に帰り支度をしていたところに、突然上司から「この資料に目を通して、明日の夜までに要点をまとめておいてくれ!」と命令されて、思わず「はい、わかりました」と承諾してしまうようなケースです。 このように不意打ちで頼みごとをされると、一瞬思考停止に陥ってしまい、たいていの場合は承諾してしまうのです。特にこちらが優位に立てる状況であれば、不意打ちの効果が大です。 この不意打ちとミックスさせて使うと効果的なのが、「誤前提暗示」と呼ばれるテクニックです。二者択一の質問により、相手を都合のいいように誘導できる方法です。たとえば、こんな会話が参考になるでしょう。 男「もう、終電がなくなるね・・・。今夜は泊まりでいいんだよね?」 女(虚をつかれて)「えっ、もうそんな時間・・・。どうしようかな」 男「じゃ、ネットカフェにでも行って夜明かしする?それともオレの家なら、ここから歩いて行けるよ。来るかい?」 ★ 不意をついて相手が混乱状態のうちに二者択一で誘導する このような流れで、結局女性は男性の家に行くことになったようです。この場合、「泊まりでいいんだよね」という最初の不意打ちに加えて、「夜明かしする」という前提のもとに「ネットカフェか、オレの家か」という二者択一を迫っているのがポイントです。 「泊まるしかない」という前提を強引に与えて、不意をつかれた彼女が混乱状態にあるうちに、二者択一で選ばせているのです。本来なら、「本当に終電に間に合わないかどうか」を最初に確認すべきところを、彼女はカレの巧みな言葉の流れにまんまと誘導されてしまっています。 ★ 後のフレーズが印象深くなる「系列位置効果(新近効果)」でダメ押し 実はこの会話には、もうひとつの心理テクニックが使われています。「系列位置効果」(そのうちの新近効果)というもので、後に言われたフレーズのほうが人の記憶に強調されて印象に残りやすいという心理を利用しています。「ネットカフェ」より「オレの家」を後出しにしているのは、この効果を狙ったものです。 もし、彼が逆のパターンで、「オレの家ならここから歩いて行けるよ。それとも、ネットカフェにでも行って夜明かしする?」と言っていたら、彼女はどうしたでしょうか?ネットカフェを選んだかもしれません。つまり、系列位置効果(新近効果)を使えば、自分の誘導したいほうを後に言うことで、相手を、都合よく誘導することが可能になるのです。 たとえば、「山田君はすごい秀才だけど、ケチなんだ」と、「山田君はケチだけど、すごい秀才なんだ」では、後者のほうが山田君の印象がずっといいはずです。このようにちょっとした言い方ひとつで、相手の受け取る印象はかなり異なるため、心理テクニックを活用する意味が大いにあるわけです。
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