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■人がケアレスミスを犯しやすいときは「弘法も筆の誤り」といわれるように、どんなにその道に達している人でも、時には失敗することがあるという意味のことわざです。 弘法とは、真言密教を日本に伝え広めた弘法大師・空海のことで、書の名人だった空海が書き間違えたのは「応(應)」という字だったと伝えられています。点がひとつ足りなかったそうです。 どんな人でも、ケアレスミスはするもので、ミスをあまり気にすることはありませんが、それも度重なると仕事に支障をきたしたり、信用をなくしたりしてしまいます。 それでは、人はどんなときにケアレスミスをしてしまうのでしょう。 ★「優越の錯覚」という心理学用語がありますが、本人に調子がいいという自覚があり、気持ちが前向きになっているときほど、実は要注意なのです。 そういうときは、新しい考えやアイデアがどんどんわいてきて、絶好調なのですが、その分、調子に乗りすぎてケアレスミスも多くなってしまうというわけです。 反対に、気持ちが後ろ向き、ネガティブになっているときは、案外ケアレスミスは少ないというデータがあります。 ですから、弘法大師も書き間違ったときは、人生の絶頂期、乗りに乗っていた時期だったのかもしれません。 弘法大師が筆を誤ったのは、京都の大内裏(だいないり)にあった応天門に掲げる額だったらしいのですが、誤りに気づいたときにはすでに、額が門の高い位置に打ち付けられた後。「どうしよう」と周囲が動揺したとき、弘法大師のとった行動がすばらしいです。 書き忘れた文字の点の位置をめがけて、筆を投げつけて見事に点を打ったというのです。そういう奇抜なアイデアが浮かんだところを見ても、弘法大師の調子の良かったときなのでしょう。 やはり、調子のよいときは、ケアレスミスに要注意しましょう。
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